Land et vous （ランデヴー）

ワタナベランド
兵庫県神戸市出身。
偶然の産物のように、ツールにこだわらず制作を続けています。


粘土作品を作り始めた初期、自分の拠り所のような世界観を表現するために、そのときの企画展のタイトルだった『真夜中のサーカス』をイメージした文章として、序章と終章を作りました(最下部参照)。
そこから派生して『裏窓』をテーマに制作しはじめたことから、粘土作品にはウラマドンナ(裏窓+マドンナ)という名前をつけています。


人は、美しさを見つけることが好き。
誰かが何でもないと思うものに、他の誰かは美しさを見出したりもします。
そんな風に何かを見つけていただけたら幸いです。


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《序章》
　

目が覚めるといつも、

軽い頭痛を覚えた。

昨夜の酒だろうかと、

まつ毛の上にけだるく横たわる瞼を見て思う。

いつのまにか眠っていたようだけれど、

それにしても眠った気がしないのは

やはり深酒のせいなのか、

それとも年のせいだろうかと、

鏡に映る自分の顔を見ながら

問うでもなく問うてみる。

また朝が来た。

朝が来ることをわたしはいつ願ったのか。

果たして長年願ったことなんて

あっただろうか。
　
　
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《終章》
　

彼らがどこからやってきて、

どこへ帰っているのかはわからない。

ただ彼らの演目が一通り終わると、

消えかかった星が太陽をいざない、

鳥たちが一斉にさえずりだす。

昨日も深酒をした。

頭が重く、鏡に映る目の前の人間さえ

さきほどの彼らの中の誰かのようだ。

千鳥足の酔いどれたち。

わたしはきっと今夜また彼らに会う。

演目の終わりの後に待っている

朝に誘われる為に。


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http://landetvous.com/